2016年12月22日木曜日

窪塚洋介「日本死ねが流行語らしいけど、遅いだろ!?日本政府なんてとっくに死んでただろぅ?今なんか一目瞭然でこの国の為の政府じゃないじゃん!」

窪塚洋介が安倍政権を批判!「日本政府なんてとっくに死んでる」「今の政府は国のための政府じゃない」

2016.12.19



今月1日に発表された「ユーキャン新語・流行語大賞」のベストテンに「保育園落ちた日本死ね」が選ばれたことを発端に再燃した炎上問題。ネトウヨは「流行語大賞は反日」「韓国人が選んでいる」などと大合唱を始め、さらに、タレントのつるの剛士が〈こんな汚い言葉に〉〈日本人としても親としても悲しい〉という批判を書き込んだ。

当サイトでは、つるののこういった言葉の裏にある、国家服従に何の疑問も抱かずそれを他人に強いる考えの危険性、また、つるのに影響を与えた右翼イデオロギーの存在を指摘する記事を配信したが、そんな状況のなか、ある俳優がつるのとは真逆のメッセージを発信した。

その俳優とは、窪塚洋介。窪塚といえば、『タクシードライバー』『グッドフェローズ』『ウルフ・オブ・ウォールストリート』などの巨匠マーティン・スコセッシ監督が遠藤周作の『沈黙』を映画化した『沈黙 -サイレンス-』(来年1月日本公開)への出演がアナウンスされている。

そんな窪塚が今月11日、前述の炎上騒動を受けてこんなツイートを投稿した。

〈「日本死ね」が流行語らしいけど、遅いだろ!?だってとっくに死んでんじゃん!笑 生きてるのは国民だけだよ。立ち上がれるのは生きてるやつだけ。日本政府なんてとっくに死んでただろぅ?今なんか一目瞭然でこの国の為の政府じゃないじゃん!て説明してる切なさよww〉(改行は引用者の判断で改めた。以下同)

まさに窪塚の言う通りで、特に、〈今なんか一目瞭然でこの国の為の政府じゃないじゃん〉の部分など、年金カット法案やカジノ法案などの国民には何のメリットもない法案をまともに議論することもなく強行に採決していく状況を見る限り首肯せざるを得ない意見である。

だが、こういったつるのとは180度真逆の主張をネトウヨが黙って見過ごすはずもなく、彼のツイッターアカウントもまた炎上した。なかには、〈もう一回飛んでみ。違う世界が見えると思うから。その世界の日本はまだ生きてるかもしれないよ。〉などと、過去に起こした彼のスキャンダルをあげつらうリプライまで散見され、まったくもって品性下劣と言う他ない。

しかし、窪塚は今回の炎上騒動程度のことは何とも思っていないだろう。というのも、ここ最近の彼はこの国の権力者たちが行ってきた横暴な振る舞いに対し怒りの主張を発信し続けているからだ。

たとえば、今年の7月12日にはこんなツイートをしていた。

〈みんなゼッタイ戦争行くなよ。アインシュタインが言ってたぜ、全員でボイコットすりゃいいんだよ。みんなを入れとく牢屋はないからな。戦争も政治の手段だから、国民みんなで中指あげてやろうぜ。で、行けって言う奴らにこう言うんだよ、「先ずお前が先に行け!!」〉

また、窪塚がこのようなメッセージの発信を行うのはツイッター上だけのことではない。ご存知の通り、彼は俳優としてだけでなく「卍LINE」名義でレゲエ歌手としてもキャリアを重ねているが、2011年4月には東日本大震災を受けて「日本のうた」という楽曲を無料配信している(昨年リリースされたベストアルバムにもこの楽曲は収録されている)。その歌詞はこんな内容であった。

〈原発お疲れこれで絶交 A to the Zクリーンなのセット エネルギーリセットで倒れるゼットン 価値観根こそぎアップグレード〉

〈原発にぶら下がった結果今 ありえんような世界が現れた俺ら 人間無限に欲望を追うの〉

〈昨日までの生活嘘の様 目の前の現実荒れ模様 政府もメディアも糞の様 三度目の最悪、放射能〉

ただ、窪塚は、ネトウヨが攻撃しているような「ブサヨ」でもなんでもない。2000年代初めはむしろ、ナショナリスト的な発言を繰り返していた。たとえば、こんな感じだ。

〈なんで原爆が二発もこの国に落ちたのかとか、東京裁判がいかさま裁判と呼ばれているとか、GHQってヤツらがこの国にどういうことをしたとか、そういうことを知るうちに、今この国がおかしくなっている理由が自分なりにわかってきた〉(「FRaU」02年10月22日号/講談社)

そして、2002年には右翼思想を前面に出した映画『凶気の桜』を企画し、主演もしている。この作品は、国粋思想に傾倒し「ネオ・トージョー」を名乗る青年たちが、暴力をもってナショナリズムを表現しようとするさまを描いた映画だった。窪塚は当時このように語っている。

「去年なんですけど、「GO」って映画があってボクの役作りのなかで自分のこととか国のこととか社会のこととか考えるようになって。今まで、そういうのどうでもよかったっていうか、まぁ関係ないなと思って生きてここまできてたんですけど、なんか“そうか、オレ日本人じゃん”みたいな。オレが生まれて育ってここにいる、ココは日本。だから、やっぱそういうことは無視できないし。オレらだからやれることがある。アメリカがやってきて日本にいろんなことをしていまこういうふうになってる。いままでいろんなことがあって歴史の流れが自分の中で一つになって、そんときにオレらだからやれること、分かることがあってそれをやらんといかんというか。自分のたってる場所とかっていうのがわかんないまま生きてってるようなカンジがしてそれがちょっとかっこわりーなとか思って」(ウェブサイト「探偵ファイル」)

この『凶気の桜』は、00年に『池袋ウエストゲートパーク』(TBS)、01年に『ストロベリー・オンザ・ショートケーキ』(TBS)と人気ドラマに連続して出演していた彼の人気や、映画版の方の作中で大々的に使われたキングギドラを始めとするジャパニーズヒップホップの効果もあり、ナショナリズムをファッショナブルなものとして広めてしまった作品でもある。

しかし、その窪塚がいまは冒頭に紹介したような政府批判、反戦を叫んでいるのだ。これは逆に言うと、ナショナリスティックな思想をもつ人間ですら現在の国民無視の政治には問題意識をもたざるを得ない状況なのだということだろう。一昨年の12月にはツイッター上でこのようにも語っていた。

〈街で自民党いるとイラつくw もし自民党が勝って、五輪後に向けて戦争まっしぐらになって、魂丸ごと散々叩き売っといて、また「家族を守る」「この国を、故郷を守る、ブレない」とか言い出したら、殺意に変わる自信あるわ。笑〉(改行はこちらで改めた)

現在の政権が押し進めようとしている「家族を守る」「故郷を守る」は、本当の意味での「守る」ではない。口当たりのいいことを言う彼らの裏にある真の思いはもう誰の目にも明らかだ。窪塚の発言の変化は、それを見抜いたがゆえのことなのは間違いない。

(新田 樹)

参照元 : LITERA




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