村田諒太が“疑惑の判定負け”で世界ベルト逃し場内騒然!
2017/5/21(日) 5:00配信
プロボクシングのWBA世界ミドル級王座決定戦が20日、有明コロシアムで行われ、ロンドン五輪金メダリストで、同級2位の村田諒太(31、帝拳)が同級1位のアッサン・エンダム(33、フランス)から4回に右のカウンターでダウンを奪い、5回、7回にも、“ロープダウン”とも取れる大ダメージを与えながら「1-2」の疑惑の判定負けを喫した。まさかの判定負けに1万人を越えるファンで埋まった場内は騒然となった。
試合後、帝拳の本田明彦会長は、「長くボクシング界にいるが、こんなひどい判定は見たことがない。ワンサイドの試合。ボクシングの信用がなくなってしまう判定だ」と大激怒。世界戦で豊富なレフェリー、ジャッジ経験のある森田健氏が、「私は2ポイント村田が勝っていた」と語り、ミドル級の統一王者、ゲナジー・ゴロフキンとの世界戦経験のある元世界暫定王者の石田順裕氏も、「村田の圧勝だった。あんなパンチの手数だけで勝てるならもうプロボクシングじゃない。ジャッジに何か(疑惑)を感じる」と、ジャッジ批判するほどの“疑惑判定”で、プロ転向後、5年間待って巡ってきたチャンスを逃した。
それでも村田は「内容は、第三者が判断すること。僕自身が勝った、負けたを言いたくない」と潔ぎ良かった。試合には惜敗したが、そのパンチ力が世界最前線のミドル級で通用することは証明した。
村田は右手を上げていた。
「判定を聞く瞬間に少し胸騒ぎがしたんです。五輪の時は勝った感じがしていたけど、今回は変な予感はした」。アナウンサーがジャッジを読み上げる前に結果を知った本田会長が本部席で大きく両手を広げて疑問を呈していた。ジャッジの一人目のパナマ人が「116-111」でエンダム。2人目のアメリカ人が「117-110」で村田。そして運命の3人目のカナダ人は「115-112」でエンダムを支持した。
4回にロープに詰め、エンダムが右を出すタイミングに右のストレートをカウンターで合わせてダウンを奪い、5回に、また右で吹っ飛ばして今度はセカンドロープにしりもちをつかせた。だが、この5回もパナマ人ジャッジはエンダムに10とつけていた。7回にも、右ストレートでぐらついたエンダムは、トップロープを両手でつかんでダウンを免れた。
「ダウンを取れた。そのあともガードの上からでもぐらぐらしていた。なかなかの手ごたえはあった」
グロッキー寸前にまで追い詰めたロンドン五輪の金メダリストが敗者で、足を使いクリンチに逃げ、スリップダウンでダメージを逃がしながら左目の下を腫らしてフラフラになったカメルーン人が勝者である。
場内からは不満を示す声が次から次へと上がって騒然となった。
1回はたったの2発しか手を出さなかったが、これも綿密な作戦の一部だった。
「右のパンチに独特の角度があるので、それを見極めたかったので」。それでもブロックをしっかりと固めて一発もダメージブローは打たせない。じりじりとプレッシャーをかけ続けたのは村田だった。
序盤の3回は確かに手数でエンダムだろう。中盤は村田のワンサイドだった。だが、2人のジャッジは、8回以降もエンダムを支持していた。
9回は、左のジャブがエンダムのガードをかいくぐってヒット。膝がぐらついた。
10回も左から右のボディブローにエンダムの体がゆがんだ。いずれもクリンチで逃げた。11回はエンダムの手数を勝るほどのダメージブローはなかったが、最終回も、ほとんどエンダムはクリンチで逃げていた。
陣営は勝利を確信してリスクを回避するためゴーサインを出さなかった。
「あれだけへっぴり腰で逃げながら打っていて手数もくそもない。負けているような展開ならば、最終回に“確実に倒せ!と”行かせますよ。倒していますよ。でも絶対に負けはないから行く必要もないと考えた。いろんな見方があるにしてもひどすぎる。村田が可哀想」。本田会長の怒りももっともである。
エンダムでさえ、ジャッジを聞くまでの間は、「ポイントはとっていたと思ったが、アウエーでもあるし(勝った)確信はなかった」と、疑心暗疑だったという。
結果的に「1-2」と割れたジャッジ内容を問われると「2人共にパンチは当たっているが、よくよく見ると、村田は1ラウンドで3発程度の右だけ。自分のほうが手数は多い。ジャブを効かせたし、コンビネーションも出た。その印象の違いだったのだろう」と自己分析した。
「村田が前に出てくることは承知していたのでジャブを打って距離をとるという戦略を貫いた。ラッシュをすればKOもできただろうが、無理はしなかった。ダウンしたがリカバリーできた。村田はコンプリート(完璧な)ファイターじゃなかった」
倒されながらもベルトを手にしたエンダムは上機嫌だった。
“ベルトを盗まれた”村田は「足を使うのは上手かった。(途中)どうなんだろうというところはあった。ダメージブローじゃなくてジャブをとったということなんでしょう。そこは納得せざるを得ない。もっと打てる場面があっても良かったと思う。休む場面があったにつけ込めなかった反省が残ります」と謙虚に語った。
疑惑判定に持ち込ませないためには強引に攻めてKO決着をつけておくべきだったが「効いたパンチは一発もなかったが、ジャブと、振ってくるフックには、やはりパンチ力があった」とも言った。
WBAのジャッジ講習を聞いたことがあるが、有効打、手数、リングゼネラルシップ(ペース)の順序で判断する原則だったが、実際は、有効打よりも手数を優先する傾向にある。手数とリングゼネラルシップを合わせて考えているのかもしれないが、WBCのように途中採点を公開しないWBAの判定は、しばしば問題になる。加えて暫定王者を乱発して著しくタイトルの権威を落としていた時期もあり、帝拳グループでは、WBAのタイトル戦を控えてきた。今回は、マッチマイクが、非常に難しいミドル級のためWBAのタイトル戦を行うことになったが、恐れていた疑惑判定が現実になったのである。
JBCの審判委員長をした経験もある森田氏は、「3人いるジャッジは、それぞれ見る角度も違い、手数を取る人、しっかりしたパンチを取る人など様々だ。日本人はしっかりした有効打を取るが、外国人には手数を取る人もいるからね。私の採点は、2ポイント村田だったが」とジャッジ事情を説明したが、それにしても、ここまで、ジャッジに差が出るのは、疑惑としか呼べない。
ほとんど綺麗な村田の試合後の顔が証明しているが、手数のほとんどがブロックの上からのタッチブロー。前述の石田氏も、「村田は作戦通りだったと思う。エンダムは、ああやって倒れながらパンチのダメージを逃がしているが、KO寸前だった。どちらがパンチを効かされたか、はハッキリしている」という。
「村田は完璧なボクシングをやった。私は負けたような試合で勝ちの判定が出ることを(一般ファンの信頼を失うと)恐れていたが、こんな最低の判定が出るとは。あの2人(エンダムを勝ちにしたジャッジ)以外の関係者は、誰もが村田が勝ったと言っていた」。本田会長の怒りは収まらなかった。
結果で負けて内容で勝った。
村田は「試合をしていて楽しかった。中学で始めた自分には想像もできなかった」という。
「世界戦の11、12回をチャンピオンズラウンドと言うんですが、やってて楽しかった。12回殴りあえた。ボクシングができた」とも続けた。
それでもすべてを出し切ったのか?と聞かれ、「100%出し切ることのできるアスリートなんかいないと思う」と、らしい持論を展開した。ブロックとプレッシャー。そして右ストレート。この3つはミドルの世界レベルで通用することはわかった。エンダムも、「まだ13試合目で若い。ここから学ぶことはあるだろうが、将来、世界チャンピオンになれる選手だと思う」と、村田の未来を約束した。
だが、軽量級と違い、ミドル級の世界で次のチャンスは、そう簡単には巡ってこない。9月には、統一王者のゴロフキン対サウル“カネロ”アルバレスの頂上決戦が行われるが、村田陣営が、当初交渉していたWBO王者のジョー・ソーンダースが、この勝者に狙いをつけていて、エンダムのプロモーターも、試合後、「ゴロフキン戦も視野に入れて今後を考える」と発言した。GGGを巡る一連のマッチメイクが落ち着くまで、村田に世界再挑戦の機会は、訪れないのかもしれない。
村田も、今後の進退については答えを保留した。
「気持ちの整理が必要です。多くの方々に助けてもらって実現した舞台。試合が決まってから集大成を見せようと努力してきた。負けたからもう一回頑張ると言えるほど簡単な日々を歩いてきたつもりはない」
キーマンの本田会長も、「みんなの力を借りて実現した試合。責任は私にある。今、次どうのこうのとは言えないでしょう」と、言葉を濁した。
日付が変わる頃、村田は、母校の南京都(現・京都廣学館高)ボクシング部のOBが中心になって発足した後援会の集まりに律儀に顔を出した。祝勝会の予定が、慰労会に変わったが、村田のルーツを知る暖かい人たちは、村田の健闘を称え、それぞれが心からエールを送った。ワルだった中学時代の村田にボクシングを薦めた当時の担任、北出忠徳先生の顔もあった。世界王者になろうが、疑惑の判定で王座奪取に失敗しようが、仲間たちの村田への思いは変わらない。いや敗れたからこそ傍にいる。我らのアイドルの傍に。
後援会長の近藤太郎氏は、最後のスピーチで元4階級王者、パーネル・ウィテカーの話をした。
1984年のロス五輪の金メダリストのウィテカーは、プロ転向して、4年後の1988年にWBC世界ライト級王者のホセ・ルイス・ラミレス(メキシコ)に初挑戦したが、12回判定で敗れた。だが、その翌年、IBF世界ライト級王者のグレグ・ホーゲン(米国)に世界再挑戦、プロ18戦目で世界のベルトを腰に巻いた。
挫折という名の試練を与えられた五輪金メダリストは、笑いながら、その話を聞いていた。
(文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)
参照元 : THE PAGE
WBA会長、村田―エンダム再戦指令 ツイッターで「怒りと謝罪」表明
2017/5/21(日) 8:51配信
ボクシングのWBA世界ミドル級王座決定12回戦(20日、東京・有明コロシアム)で村田諒太(31=帝拳)がアッサン・エンダム(33=フランス)に1―2の判定で敗れた結果に対し、WBAのヒルベルト・メンドサJr会長が“再戦指令”を出した。
メンドサ会長はツイッターで、自身がつけた採点表を公表し、117―110で村田の勝ちとした上で「DIRECT REMATH(再戦)」と書き添えた。「私は公正な採点が下すことができないスポーツに怒りと不満を覚える。私の採点では村田が117―110で勝っていた。村田諒太と帝拳プロモーション、日本のボクシングファンにお詫びしたい。ひどい判定がもたらすダメージをどう回復させたらいいか、言葉が見つからない。私はチャンピオンシップ委員会に再戦を要求する」と声明を発表した。
村田―エンダム戦はジャッジのラウル・カイズ・シニア(米国)が117―110で村田を支持したが、グスタボ・オパディージャ(パナマ)は116―11で、ヒューバート・アール(カナダ)は115―112で、いずれもエンダムを支持。帝拳ジムの本田明彦会長は「これまでで一番ひどい採点」と怒りをあらわにし、「リマッチ?やりたくないですよ」とWBAへの不信感を示していた。
参照元 : スポニチアネックス
村田の判定「誰に聞いたって勝ちだ」 世界の関係者から疑問の声…帝拳ジム会長、怒り心頭
2017.5.20 22:56
村田の所属する帝拳ジムの本田明彦会長は判定に対する怒りを口にした。「ひどすぎだ。負けは絶対にない」と声を荒らげた。
試合前は「これだけ注目される中、負けているのに勝ちにされたら困ると思っていた」と日本寄りの判定が下るケースを懸念していたという。
だが試合後は観戦した世界のボクシング関係者から「村田が取られたのはせいぜい1、2回だけではないか」といった声が上がったといい、「(エンダムを支持した)あの2人以外、誰に聞いたって全員(村田の)勝ちだといっていた」といらだちを隠せなかった。
一方で試合途中で採点を公開するWBCと公開しないWBAの違いを挙げ、「楽な展開になったから慎重になった。ちょっと大事に行き過ぎた」と読み違いを悔やんだ。
参照元 : 産経新聞
WBA会長 Gilberto J Mendoza
▼今私は村田VSエンダムの試合を分析している。
▼私はスポーツにおいて正しい決定ができないことに怒りと不愉快を感じる。
▼私が村田戦を見てのジャッジはこうだ。110-117で村田の勝ち!
▼まず最初に村田と帝拳ジムと日本のボクシングファンに謝罪する。
▼このような間違った決定でのダメージをどう修復していいか言葉がない。
▼私は協会に再戦を要求する。
WBA orders N’Dam-Murata rematch
WBA orders N’Dam-Murata rematch (WBAは村田戦のリマッチを命じた。)
【村田諒太VSアッサン・エンダム=篠原信一VSダビド・ドゥイエ】
今回のボクシング世界戦は、柔道のシドニー五輪と全く同じ構図である。
【日本VSフランス】まで全く同じだ。
ハッキリと言う。この様な不正試合が公然と行われる競技など即刻廃止すべきだ。今回の世界戦は、村田諒太選手の完勝に他ならない。
今回の世界戦において、村田選手は実力で明らかにエンダム選手より格上だった。村田選手がエンダム選手に負ける要素など微塵も無かった。
エンダム選手の方が手数が多かったと言うが、村田選手はそのほとんどをブロックで防御していた。その上、パンチの量より質で村田選手はエンダム選手にクリティカルヒットを何度も決めていた。
両者のパンチ力と正確性の差は歴然であり、改めて言うまでもなく村田選手の圧勝である。
村田選手はエンダム選手をダウンさせた後、一挙に勝負を着けられれば最高だった。
だが、ポイントで大差のリードをしていた為、念には念を入れて慎重に成り過ぎた点は否めない。
今回の世界戦が不正試合で無ければ、村田選手は余裕で完勝しただろうが、完全燃焼とは言い難い。
メインイベンターとして試合を盛り上げるという意味においては、反省も残る闘いだった。
今後の課題であろう。
大きな問題があった今回の世界戦に対してどの様な決着を図るのか。今後のボクシングのあり方が問われている。
ここで関係者が毅然とした対応を取らなければ、ボクシングファンは離れるだろう。
■エンダム
「12回を戦い終えて村田選手より多くのラウンドを取って勝ったと思った」
「村田選手は右のパンチが強いが、コンプリートな選手ではない。自分はそこをついた」
「彼は若く未来のあるボクサー。将来は王者になる選手だと思う」
■村田諒太
「自分なりに努力してきて、その集大成が今日だった」
「勝てなくて、もう一回やりますと簡単には言えない。気持ちの整理をつける時間が必要」
■本田会長
「ひどすぎだ。負けは絶対にない」
■山中慎介
「ジャッジに対してショック。何を言ったらいいか分からない」
「村田はしっかりブロックして、自分の良さを出せていた」
「僕には正直、理解できないですね。この採点」
■浜田剛史
「採点にはびっくりした。村田はこれ以上ない出来だと思っていた」
「エンダムは手数が多かったけれど、村田はしっかりブロックしていた」
■竹原慎二
「(村田が)5ポイントくらい勝ったと思った」
「手数が少なかったね。そこをジャッジに取られたかな」
■本田会長
「(エンダムの勝ちとした)あの2人以外、誰に聞いても村田が勝ってると言っている」
「こんな判定をしているとボクシングの信用も失ってしまう」
■粟生隆寛
「どう見ても勝っていたと思いますよ。
「パンチの軌道を見てブロックしているのが、ただ手を置いて防御しているだけと見られたのかな」
2017/5/21(日) 5:00配信
プロボクシングのWBA世界ミドル級王座決定戦が20日、有明コロシアムで行われ、ロンドン五輪金メダリストで、同級2位の村田諒太(31、帝拳)が同級1位のアッサン・エンダム(33、フランス)から4回に右のカウンターでダウンを奪い、5回、7回にも、“ロープダウン”とも取れる大ダメージを与えながら「1-2」の疑惑の判定負けを喫した。まさかの判定負けに1万人を越えるファンで埋まった場内は騒然となった。
試合後、帝拳の本田明彦会長は、「長くボクシング界にいるが、こんなひどい判定は見たことがない。ワンサイドの試合。ボクシングの信用がなくなってしまう判定だ」と大激怒。世界戦で豊富なレフェリー、ジャッジ経験のある森田健氏が、「私は2ポイント村田が勝っていた」と語り、ミドル級の統一王者、ゲナジー・ゴロフキンとの世界戦経験のある元世界暫定王者の石田順裕氏も、「村田の圧勝だった。あんなパンチの手数だけで勝てるならもうプロボクシングじゃない。ジャッジに何か(疑惑)を感じる」と、ジャッジ批判するほどの“疑惑判定”で、プロ転向後、5年間待って巡ってきたチャンスを逃した。
それでも村田は「内容は、第三者が判断すること。僕自身が勝った、負けたを言いたくない」と潔ぎ良かった。試合には惜敗したが、そのパンチ力が世界最前線のミドル級で通用することは証明した。
村田は右手を上げていた。
「判定を聞く瞬間に少し胸騒ぎがしたんです。五輪の時は勝った感じがしていたけど、今回は変な予感はした」。アナウンサーがジャッジを読み上げる前に結果を知った本田会長が本部席で大きく両手を広げて疑問を呈していた。ジャッジの一人目のパナマ人が「116-111」でエンダム。2人目のアメリカ人が「117-110」で村田。そして運命の3人目のカナダ人は「115-112」でエンダムを支持した。
4回にロープに詰め、エンダムが右を出すタイミングに右のストレートをカウンターで合わせてダウンを奪い、5回に、また右で吹っ飛ばして今度はセカンドロープにしりもちをつかせた。だが、この5回もパナマ人ジャッジはエンダムに10とつけていた。7回にも、右ストレートでぐらついたエンダムは、トップロープを両手でつかんでダウンを免れた。
「ダウンを取れた。そのあともガードの上からでもぐらぐらしていた。なかなかの手ごたえはあった」
グロッキー寸前にまで追い詰めたロンドン五輪の金メダリストが敗者で、足を使いクリンチに逃げ、スリップダウンでダメージを逃がしながら左目の下を腫らしてフラフラになったカメルーン人が勝者である。
場内からは不満を示す声が次から次へと上がって騒然となった。
1回はたったの2発しか手を出さなかったが、これも綿密な作戦の一部だった。
「右のパンチに独特の角度があるので、それを見極めたかったので」。それでもブロックをしっかりと固めて一発もダメージブローは打たせない。じりじりとプレッシャーをかけ続けたのは村田だった。
序盤の3回は確かに手数でエンダムだろう。中盤は村田のワンサイドだった。だが、2人のジャッジは、8回以降もエンダムを支持していた。
9回は、左のジャブがエンダムのガードをかいくぐってヒット。膝がぐらついた。
10回も左から右のボディブローにエンダムの体がゆがんだ。いずれもクリンチで逃げた。11回はエンダムの手数を勝るほどのダメージブローはなかったが、最終回も、ほとんどエンダムはクリンチで逃げていた。
陣営は勝利を確信してリスクを回避するためゴーサインを出さなかった。
「あれだけへっぴり腰で逃げながら打っていて手数もくそもない。負けているような展開ならば、最終回に“確実に倒せ!と”行かせますよ。倒していますよ。でも絶対に負けはないから行く必要もないと考えた。いろんな見方があるにしてもひどすぎる。村田が可哀想」。本田会長の怒りももっともである。
エンダムでさえ、ジャッジを聞くまでの間は、「ポイントはとっていたと思ったが、アウエーでもあるし(勝った)確信はなかった」と、疑心暗疑だったという。
結果的に「1-2」と割れたジャッジ内容を問われると「2人共にパンチは当たっているが、よくよく見ると、村田は1ラウンドで3発程度の右だけ。自分のほうが手数は多い。ジャブを効かせたし、コンビネーションも出た。その印象の違いだったのだろう」と自己分析した。
「村田が前に出てくることは承知していたのでジャブを打って距離をとるという戦略を貫いた。ラッシュをすればKOもできただろうが、無理はしなかった。ダウンしたがリカバリーできた。村田はコンプリート(完璧な)ファイターじゃなかった」
倒されながらもベルトを手にしたエンダムは上機嫌だった。
“ベルトを盗まれた”村田は「足を使うのは上手かった。(途中)どうなんだろうというところはあった。ダメージブローじゃなくてジャブをとったということなんでしょう。そこは納得せざるを得ない。もっと打てる場面があっても良かったと思う。休む場面があったにつけ込めなかった反省が残ります」と謙虚に語った。
疑惑判定に持ち込ませないためには強引に攻めてKO決着をつけておくべきだったが「効いたパンチは一発もなかったが、ジャブと、振ってくるフックには、やはりパンチ力があった」とも言った。
WBAのジャッジ講習を聞いたことがあるが、有効打、手数、リングゼネラルシップ(ペース)の順序で判断する原則だったが、実際は、有効打よりも手数を優先する傾向にある。手数とリングゼネラルシップを合わせて考えているのかもしれないが、WBCのように途中採点を公開しないWBAの判定は、しばしば問題になる。加えて暫定王者を乱発して著しくタイトルの権威を落としていた時期もあり、帝拳グループでは、WBAのタイトル戦を控えてきた。今回は、マッチマイクが、非常に難しいミドル級のためWBAのタイトル戦を行うことになったが、恐れていた疑惑判定が現実になったのである。
JBCの審判委員長をした経験もある森田氏は、「3人いるジャッジは、それぞれ見る角度も違い、手数を取る人、しっかりしたパンチを取る人など様々だ。日本人はしっかりした有効打を取るが、外国人には手数を取る人もいるからね。私の採点は、2ポイント村田だったが」とジャッジ事情を説明したが、それにしても、ここまで、ジャッジに差が出るのは、疑惑としか呼べない。
ほとんど綺麗な村田の試合後の顔が証明しているが、手数のほとんどがブロックの上からのタッチブロー。前述の石田氏も、「村田は作戦通りだったと思う。エンダムは、ああやって倒れながらパンチのダメージを逃がしているが、KO寸前だった。どちらがパンチを効かされたか、はハッキリしている」という。
「村田は完璧なボクシングをやった。私は負けたような試合で勝ちの判定が出ることを(一般ファンの信頼を失うと)恐れていたが、こんな最低の判定が出るとは。あの2人(エンダムを勝ちにしたジャッジ)以外の関係者は、誰もが村田が勝ったと言っていた」。本田会長の怒りは収まらなかった。
結果で負けて内容で勝った。
村田は「試合をしていて楽しかった。中学で始めた自分には想像もできなかった」という。
「世界戦の11、12回をチャンピオンズラウンドと言うんですが、やってて楽しかった。12回殴りあえた。ボクシングができた」とも続けた。
それでもすべてを出し切ったのか?と聞かれ、「100%出し切ることのできるアスリートなんかいないと思う」と、らしい持論を展開した。ブロックとプレッシャー。そして右ストレート。この3つはミドルの世界レベルで通用することはわかった。エンダムも、「まだ13試合目で若い。ここから学ぶことはあるだろうが、将来、世界チャンピオンになれる選手だと思う」と、村田の未来を約束した。
だが、軽量級と違い、ミドル級の世界で次のチャンスは、そう簡単には巡ってこない。9月には、統一王者のゴロフキン対サウル“カネロ”アルバレスの頂上決戦が行われるが、村田陣営が、当初交渉していたWBO王者のジョー・ソーンダースが、この勝者に狙いをつけていて、エンダムのプロモーターも、試合後、「ゴロフキン戦も視野に入れて今後を考える」と発言した。GGGを巡る一連のマッチメイクが落ち着くまで、村田に世界再挑戦の機会は、訪れないのかもしれない。
村田も、今後の進退については答えを保留した。
「気持ちの整理が必要です。多くの方々に助けてもらって実現した舞台。試合が決まってから集大成を見せようと努力してきた。負けたからもう一回頑張ると言えるほど簡単な日々を歩いてきたつもりはない」
キーマンの本田会長も、「みんなの力を借りて実現した試合。責任は私にある。今、次どうのこうのとは言えないでしょう」と、言葉を濁した。
日付が変わる頃、村田は、母校の南京都(現・京都廣学館高)ボクシング部のOBが中心になって発足した後援会の集まりに律儀に顔を出した。祝勝会の予定が、慰労会に変わったが、村田のルーツを知る暖かい人たちは、村田の健闘を称え、それぞれが心からエールを送った。ワルだった中学時代の村田にボクシングを薦めた当時の担任、北出忠徳先生の顔もあった。世界王者になろうが、疑惑の判定で王座奪取に失敗しようが、仲間たちの村田への思いは変わらない。いや敗れたからこそ傍にいる。我らのアイドルの傍に。
後援会長の近藤太郎氏は、最後のスピーチで元4階級王者、パーネル・ウィテカーの話をした。
1984年のロス五輪の金メダリストのウィテカーは、プロ転向して、4年後の1988年にWBC世界ライト級王者のホセ・ルイス・ラミレス(メキシコ)に初挑戦したが、12回判定で敗れた。だが、その翌年、IBF世界ライト級王者のグレグ・ホーゲン(米国)に世界再挑戦、プロ18戦目で世界のベルトを腰に巻いた。
挫折という名の試練を与えられた五輪金メダリストは、笑いながら、その話を聞いていた。
(文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)
参照元 : THE PAGE
WBA会長、村田―エンダム再戦指令 ツイッターで「怒りと謝罪」表明
2017/5/21(日) 8:51配信
ボクシングのWBA世界ミドル級王座決定12回戦(20日、東京・有明コロシアム)で村田諒太(31=帝拳)がアッサン・エンダム(33=フランス)に1―2の判定で敗れた結果に対し、WBAのヒルベルト・メンドサJr会長が“再戦指令”を出した。
メンドサ会長はツイッターで、自身がつけた採点表を公表し、117―110で村田の勝ちとした上で「DIRECT REMATH(再戦)」と書き添えた。「私は公正な採点が下すことができないスポーツに怒りと不満を覚える。私の採点では村田が117―110で勝っていた。村田諒太と帝拳プロモーション、日本のボクシングファンにお詫びしたい。ひどい判定がもたらすダメージをどう回復させたらいいか、言葉が見つからない。私はチャンピオンシップ委員会に再戦を要求する」と声明を発表した。
村田―エンダム戦はジャッジのラウル・カイズ・シニア(米国)が117―110で村田を支持したが、グスタボ・オパディージャ(パナマ)は116―11で、ヒューバート・アール(カナダ)は115―112で、いずれもエンダムを支持。帝拳ジムの本田明彦会長は「これまでで一番ひどい採点」と怒りをあらわにし、「リマッチ?やりたくないですよ」とWBAへの不信感を示していた。
参照元 : スポニチアネックス
村田の判定「誰に聞いたって勝ちだ」 世界の関係者から疑問の声…帝拳ジム会長、怒り心頭
2017.5.20 22:56
村田の所属する帝拳ジムの本田明彦会長は判定に対する怒りを口にした。「ひどすぎだ。負けは絶対にない」と声を荒らげた。
試合前は「これだけ注目される中、負けているのに勝ちにされたら困ると思っていた」と日本寄りの判定が下るケースを懸念していたという。
だが試合後は観戦した世界のボクシング関係者から「村田が取られたのはせいぜい1、2回だけではないか」といった声が上がったといい、「(エンダムを支持した)あの2人以外、誰に聞いたって全員(村田の)勝ちだといっていた」といらだちを隠せなかった。
一方で試合途中で採点を公開するWBCと公開しないWBAの違いを挙げ、「楽な展開になったから慎重になった。ちょっと大事に行き過ぎた」と読み違いを悔やんだ。
参照元 : 産経新聞
WBA会長 Gilberto J Mendoza
▼今私は村田VSエンダムの試合を分析している。
#Boxing Working on the analysis of the fight between Hassan N'Dam and Ryota Murata. pic.twitter.com/QNVGzYaWzC— Gilberto J Mendoza (@GilberticoWBA) 2017年5月20日
▼私はスポーツにおいて正しい決定ができないことに怒りと不愉快を感じる。
#Boxing #MurataNDam I feel angry and frustrating for not being able to serve the sport with the right decisions. 1/5— Gilberto J Mendoza (@GilberticoWBA) 2017年5月20日
▼私が村田戦を見てのジャッジはこうだ。110-117で村田の勝ち!
#Boxing #MurataNDam After judging the bout my scorecard is 117-110 for Murata. 2/5 pic.twitter.com/TsnalDaLnM— Gilberto J Mendoza (@GilberticoWBA) 2017年5月20日
▼まず最初に村田と帝拳ジムと日本のボクシングファンに謝罪する。
#Boxing #MurataNDam First of all let me apologize to Ryota Murata, Teiken Promotions and ALL Japanese boxing fans 3/5— Gilberto J Mendoza (@GilberticoWBA) 2017年5月20日
▼このような間違った決定でのダメージをどう修復していいか言葉がない。
#Boxing #MurataNDam There no word how to repair the damage causes by the poor decision. 4/5— Gilberto J Mendoza (@GilberticoWBA) 2017年5月20日
▼私は協会に再戦を要求する。
#Boxing #MurataNDam I will demand the championship committee to order a direct rematch. 5/5— Gilberto J Mendoza (@GilberticoWBA) 2017年5月20日
WBA orders N’Dam-Murata rematch
WBA orders N’Dam-Murata rematch (WBAは村田戦のリマッチを命じた。)
<ネットユーザーの反応>
「あんなみっともないダウンさせられといて勝ってるなんておかしな話やで」
「再戦してまた勝てるの」
「パナマ人のジャッジがクソすぎる」
「よしいいぞメンドクサ会長」
「ひどい判定って自分で選んだジャッジだろ 責任は自分にあるんだから辞職した方が良いな」
「まーた金稼ぎか」
「判定覆すじゃなくて再戦って所が本当ゴミ 全部金儲けのため」
「帝拳はWBAに不信感を持ってるからな」
「百歩譲ってカナダはしょうがないとしても パナマ人の判定はあり得ない」
「WBAは亀田のときにやりすぎたよ そして昨日のあれ もう二度と日本人にかかわらないでほしい」
「で、なんぼもろたんや」
「WBAはわざとやったんだろ 再戦させるために。認定料はいくらなんだろ WBAが金に汚いのはみんな知ってるぜ スーパー王者とか暫定王者とか乱立させてな」
「フランスってオリンピックもそうだけど判定になると買収してるよな」
「もう日本はWBAを認定団体から外せよw」
「ジャッジをジャッジするジャッジを置かないとな」
「不満はあっても世界戦のチャンスに乗らない手はない。ミドル級の切符なんてラストチャンスだろ。次はラスベガスかフランスかもしれんが、KOすれば問題はない」
「村田陣営をしゃぶり尽くすつもりだな えげつないわWBAの会長さん」
「審判買収していない帝拳が間抜けなだけだろ」
「あんなみっともないダウンさせられといて勝ってるなんておかしな話やで」
「再戦してまた勝てるの」
「パナマ人のジャッジがクソすぎる」
「よしいいぞメンドクサ会長」
「ひどい判定って自分で選んだジャッジだろ 責任は自分にあるんだから辞職した方が良いな」
「まーた金稼ぎか」
「判定覆すじゃなくて再戦って所が本当ゴミ 全部金儲けのため」
「帝拳はWBAに不信感を持ってるからな」
「百歩譲ってカナダはしょうがないとしても パナマ人の判定はあり得ない」
「WBAは亀田のときにやりすぎたよ そして昨日のあれ もう二度と日本人にかかわらないでほしい」
「で、なんぼもろたんや」
「WBAはわざとやったんだろ 再戦させるために。認定料はいくらなんだろ WBAが金に汚いのはみんな知ってるぜ スーパー王者とか暫定王者とか乱立させてな」
「フランスってオリンピックもそうだけど判定になると買収してるよな」
「もう日本はWBAを認定団体から外せよw」
「ジャッジをジャッジするジャッジを置かないとな」
「不満はあっても世界戦のチャンスに乗らない手はない。ミドル級の切符なんてラストチャンスだろ。次はラスベガスかフランスかもしれんが、KOすれば問題はない」
「村田陣営をしゃぶり尽くすつもりだな えげつないわWBAの会長さん」
「審判買収していない帝拳が間抜けなだけだろ」
【村田諒太VSアッサン・エンダム=篠原信一VSダビド・ドゥイエ】
今回のボクシング世界戦は、柔道のシドニー五輪と全く同じ構図である。
【日本VSフランス】まで全く同じだ。
ハッキリと言う。この様な不正試合が公然と行われる競技など即刻廃止すべきだ。今回の世界戦は、村田諒太選手の完勝に他ならない。
今回の世界戦において、村田選手は実力で明らかにエンダム選手より格上だった。村田選手がエンダム選手に負ける要素など微塵も無かった。
エンダム選手の方が手数が多かったと言うが、村田選手はそのほとんどをブロックで防御していた。その上、パンチの量より質で村田選手はエンダム選手にクリティカルヒットを何度も決めていた。
両者のパンチ力と正確性の差は歴然であり、改めて言うまでもなく村田選手の圧勝である。
村田選手はエンダム選手をダウンさせた後、一挙に勝負を着けられれば最高だった。
だが、ポイントで大差のリードをしていた為、念には念を入れて慎重に成り過ぎた点は否めない。
今回の世界戦が不正試合で無ければ、村田選手は余裕で完勝しただろうが、完全燃焼とは言い難い。
メインイベンターとして試合を盛り上げるという意味においては、反省も残る闘いだった。
今後の課題であろう。
大きな問題があった今回の世界戦に対してどの様な決着を図るのか。今後のボクシングのあり方が問われている。
ここで関係者が毅然とした対応を取らなければ、ボクシングファンは離れるだろう。
■エンダム
「12回を戦い終えて村田選手より多くのラウンドを取って勝ったと思った」
「村田選手は右のパンチが強いが、コンプリートな選手ではない。自分はそこをついた」
「彼は若く未来のあるボクサー。将来は王者になる選手だと思う」
■村田諒太
「自分なりに努力してきて、その集大成が今日だった」
「勝てなくて、もう一回やりますと簡単には言えない。気持ちの整理をつける時間が必要」
■本田会長
「ひどすぎだ。負けは絶対にない」
■山中慎介
「ジャッジに対してショック。何を言ったらいいか分からない」
「村田はしっかりブロックして、自分の良さを出せていた」
「僕には正直、理解できないですね。この採点」
■浜田剛史
「採点にはびっくりした。村田はこれ以上ない出来だと思っていた」
「エンダムは手数が多かったけれど、村田はしっかりブロックしていた」
■竹原慎二
「(村田が)5ポイントくらい勝ったと思った」
「手数が少なかったね。そこをジャッジに取られたかな」
■本田会長
「(エンダムの勝ちとした)あの2人以外、誰に聞いても村田が勝ってると言っている」
「こんな判定をしているとボクシングの信用も失ってしまう」
■粟生隆寛
「どう見ても勝っていたと思いますよ。
「パンチの軌道を見てブロックしているのが、ただ手を置いて防御しているだけと見られたのかな」
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