【UFC】マクレガーがヌルマゴメドフに一本負け、試合後は前代未聞の大乱闘に
2018/10/07(日)
Ultimate Fighting Championship『UFC 229』
2018年10月6日(土・現地時間)アメリカ・ネバダ州ラスベガス T-モバイル・アリーナ
▼メインイベント UFC世界ライト級タイトルマッチ 5分5R
○ハビブ・ヌルマゴメドフ(30=ロシア/UFC世界ライト級王者)
一本 4R 3分03秒 ※リアネイキドチョーク
●コナー・マクレガー(30=アイルランド/元UFC世界フェザー級&ライト級王者、現UFC世界ライト級1位/挑戦者)
※ヌルマゴメドフが初防衛に成功。
マクレガーは2016年11月のエディ・アルバレス戦でTKO勝ちを収め、UFC史上初となる同時2階級(フェザー級&ライト級)制覇を達成。翌年8月にはプロボクシング5階級制覇のフロイド・メイウェザー・ジュニアとボクシングルールで対戦し、世界中の注目を集めた。
しかし、UFCフェザー級のベルトは要請された防衛戦を拒否したため、ライト級のベルトは今年4月に選手バス襲撃事件(マクレガーが以前から敵対していたヌルマゴメドフ陣営の搭乗バスに台車を投げつけるなどの暴力行為を働く)を起こしたため、いずれも剥奪されることに。今回はアルバレス戦以来、MMA(総合格闘技)で約2年ぶりの試合となる。戦績は21勝3敗。
迎え撃つ王者ヌルマゴメドフは26戦26勝の無敗記録を続け、今年4月にロシア人として初のUFC王座に就いた。今回は初防衛戦にして、因縁の初対決となる。
1R、マクレガーが間合いを詰めて左ストレートと左ハイを放つとヌルマゴメドフはタックル。マクレガーはこれをがぶって潰しにいくが、ヌルマゴメドフはしぶとく足を捕らえて離さない。ケージを背にして座らされた状態が続くマクレガー。観客からブーイングが飛ぶ中、ヌルマゴメドフがマクレガーの背中を完全にマットに着かせた。
2R、開始早々の打撃戦でマクレガーがヌルマゴメドフの右オーバーハンドを被弾してぐらついてしまう。マクレガーも踏ん張って飛びヒザ蹴りを返すも空振り。ヌルマゴメドフが再びタックルでテイクダウンを奪う。ヌルマゴメドフの強烈なパウンドでマクレガーは防戦一方に。マクレガーはヌルマゴメドフのアームロックを外してなんとか立ち上がった。
3R、巻き返したいマクレガーは多彩なパンチのコンビネーションを振るい、左アッパーから右ストレート、右ジャブから左ボディストレートなどをヒットさせる。ヌルマゴメドフはワンツーを返して組みにいくが、マクレガーはテイクダウンを許さず、離れ際にはヒザ蹴りから右フックを打ち込んだ。
ヌルマゴメドフは3R終了後のインターバル中、終始不満の表情で関係者たちに抗議を続ける。
4Rに入ると、再びヌルマゴメドフがタックルでテイクダウンに成功し、マウントも奪取。マクレガーが立ち上がろうと体をよじったところでヌルマゴメドフのチョークに捕まり、ここで観念したかのようにタップした。
しかしこの直後、ヌルマゴメドフは観客席に飛び降りてマクレガーのチームメイトと乱闘に。ヌルマゴメドフのチームメイトもケージ内に乱入してをマクレガーとエキサイトする。両陣営が入り乱れる前代未聞の大乱闘に会場は騒然とした。
UFCヘビー級&ライトヘビー級王者ダニエル・コーミエやデイナ・ホワイトUFC代表ら多数の関係者が制止に入り、マクレガーとヌルマゴメドフは試合後のコールを聞くことなく退場。ヌルマゴメドフが会場を後にする際には、怒りの形相で詰め寄る観客の姿も。
その後、リングアナウンサーのブルース・バッファー氏が選手のいないオクタゴンの中で勝敗の結果をコール。初防衛戦のヌルマゴメドフが一本勝ちとなったが、2018年最大の一戦は後味の悪い幕切れを迎えた。
▼セミファイナル ライト級 5分3R
○トニー・ファーガソン(34=アメリカ/元UFC世界ライト級暫定王者、現同級2位)
TKO 2R 終了時点
●アンソニー・ペティス(31=アメリカ/元UFC世界ライト級王者、現同級8位)
ファーガソンは昨年10月のケビン・リー戦で一本勝ちし、10連勝でUFC世界ライト級暫定王座を獲得。当初は今年4月に正規王者ヌルマゴメドフとの王座統一戦が予定されていたが、負傷欠場を余儀なくされて暫定王座も剥奪に。今回は1年ぶりの復帰戦となる。
対するペティスは2013年8月にUFCライト級王座に就いたこともある実力者。2015年3月の王座陥落から負けが先行していたが、今年7月の再起戦で寝技の強豪マイケル・キエーザを相手に一本勝ちを収めた。今回は久しぶりの連勝を目指す。
1R、距離を取りながらケージ内を右方向へ回り込むペティスに対し、ファーガソンは前進しながらの前蹴りと左インロー。ペティスはバックハンドブローとマットに手を着きながらの左ハイ、ファーガソンもバックハンドブローとケージを蹴ってのスーパーマンパンチをヒットさせ、両者のアクロバティックな技に観客がどよめく。パンチで有効打を重ねたのはファーガソンだ。
2R、開始早々にファーガソンの左ローとペティスの右ミドルが交錯。直後に両者は右ストレートも放つが、ペティスの方が一瞬速く打ち抜いた。ファーガソンはペティスの追撃の右ストレートも喰らってダウン。ペティスがパウンドを振り落とすと、直撃を免れたいファーガソンはマットの上を転がり回り、足関節技の仕掛けからなんとかガードポジションに持ち込む。
グラウンド状態でパンチやエルボーを当て合ったか、両者とも顔面から大量に出血してドクターチェックに。ここから形勢が変わり、試合が再開されるとファーガソンがパンチをまとめながら右エルボーを振るい、ペティスを追い込んでいく。顔面がさらに鮮血で染まったペティスが防戦一方となったところでラウンド終了。
すぐにドクターチェックが入り、ペティスは続行不可能に。ファーガソンが復帰戦を逆転TKO勝ちで飾った。試合後に抱擁で互いの健闘を称え合う両者。ファーガソンは勝利者インタビューで「俺がチャンピオンだ。もし、ハビブ(・ヌルマゴメドフ)がマクレガーを倒せなかったら俺がやってやる!」と吠えた。
▼ヘビー級 5分3R
○デリック・ルイス(33=アメリカ/UFC世界ヘビー級2位)
KO 3R 4分49秒
●アレクサンドル・ボルコフ(29=ロシア/元Bellator MMA世界ヘビー級王者/UFC世界ヘビー級5位)
ルイスは昨年6月のマーク・ハント戦でTKO負けを喫し、2015年10月のヴィクトル・ペシュタ戦から続いた連勝が「6」でストップ。しかし、今年2月の再起戦をKO勝ちで飾ると、7月にはヘビー級の怪物フランシス・ガヌーも判定で下し、復活を遂げた。
対するボルコフに2012年12月にBellator MMA世界ヘビー級王座を獲得した実績の持ち主。UFCには2016年11月から参戦し、現在無傷の4連勝だ。今年3月には元UFC世界ヘビー級王者ファブリシオ・ヴェウドゥムからTKO勝ちを収めている。
1R、間合いの探り合いの中、ルイスがその巨体を宙に舞わせて二段蹴りを放つと、観客が沸く。しかし、直後にルイスはボルコフが長身から打ち下ろした左ストレートを被弾して後ずさり。左の三日月蹴りも効かせたボルコフは、さらにパンチをまとめてフィニッシュを狙う。
ここでルイスがアイポークを訴えレフェリーがブレイク。試合が再開されると、今度はルイスが右フックを叩き込み、ボルコフはたまらず組みついてテイクダウンを奪う。ルイスはバックマウントを許してチョークで攻め込まれるが、終了間際に引っくり返して鉄槌を振り落とした。
2R、開始早々にボルコフのパンチ連打に顔を歪めるルイス。ボルコフもルイスに右フックを一発フルスイングされると、無理に追撃に入らず距離を取る。パンチを警戒してやや手数が落ちる両者。ボルコフは左の蹴りに切り替えて単発ながらも圧力をかけ続けた。
3R、うつろな表情のルイスはタックルもキレがなく、ボルコフに難なくカットされてしまう。さらにボルコフのパンチ連打でルイスは防戦一方になるもののタフさも発揮して持ち堪える。すると終了間際、ボルコフの前蹴りに合わせてルイスは渾身の右フック。ボルコフはダウンしたところでルイスの重たい鉄槌を喰らって失神した。
まさかの大逆転劇に場内大歓声。ルイスが持ち前のタフさと剛腕で見事に試合を引っくり返し、KO勝ちで3連勝をマークした。一方、ボルコフは勝利を目前で逃し、UFCで5戦目にして初黒星となった。
▼ライトヘビー級 5分3R
○ドミニク・レイエス(20=アメリカ/UFC世界ライトヘビー級12位)
判定3-0 ※三者とも30-27
●オヴィンス・サン・プルー(35=アメリカ/UFC世界ライトヘビー級7位)
サン・プルーは2016年4月にジョン・ジョーンズとUFC世界ライトヘビー級暫定王座を争った実力者。昨年9月のUFC日本大会ではメインイベンターを務め、岡見勇信をヴォンフルーチョークで絞め落とした。その後はコーリー・アンダーソンにKO勝ち、イリル・ラティフィに一本負け、タイソン・ペドロに一本勝ちという戦いぶり。いずれも1R決着だ。
対するレイエスは9戦全勝の戦績を誇る期待の新鋭。UFCでは昨年6月の初陣から4戦全勝となっており、5戦目となる今大会で格上に挑む。
1R、左構えのレイエスがパワフルな左ミドルと左ローを蹴り、伸びのある左ストレートも放つ。サン・プルーにタックルでテイクダウンされてもすぐにすぐに立ち上がるレイエス。サン・プルーは組みの攻防からの離れ際にレイエスの強烈な左ストレート連打を叩き込まれてよろめく。
2R、レイエスの左ローで体が横へ流れるサン・プルー。レイエスは右フックからの左ミドルもきれいにヒットさせる左構えにスイッチしたサン・プルーも左ミドルと左ハイを返しながらタックルを仕掛けるが、レイエスの反応が速くテイクダウンできない。
3R、レイエスの左ジャブからすぐさま左インローにつなげる高速コンボがヒット。サン・プルーも負けじと左ハイを振り抜く。劣勢が続いたサン・プルーだが、レイエスの左ミドルにカウンターの左ストレートを合わせる場面も。しかし試合終了間際、サン・プルーはパンチ連打で間に出たところでレイエスの左フックを被弾。サン・プルーが完全にダウンして崩れ落ちた直後に試合終了のホーンが鳴った。
際どいタイミングであったが、勝敗は判定に持ち込まれ、レイエスが上位ランカーのサン・プルーに完勝した。
▼女子ストロー級 5分3R
○ミシェル・ウォーターソン(32=アメリカ/元Invicta FC世界アトム級王者/UFC世界女子ストロー級8位)
判定3-0 ※29-28、30-27、30-26
●フェリス・ヘリッグ(34=アメリカ/UFC世界女子ストロー級9位)
女子ストロー級のランカー対決。元Invicta FCアトム級王者ウォーターソンは今年4月のコートニー・ケイシー戦で判定勝ちし、連敗脱出を果たした。一方のヘリッグは4月のカロリーナ・コバルケビッチ戦で判定負けし、連勝が「4」でストップ。今回が再起戦となる。
1R、パンチで前に出るヘリッグに対し、ウォーターソンが軽快なフットワークで間合いを取りながら空手仕込みの蹴り技を飛ばす。ウォーターソンが横蹴りと左ハイ、ヘリッグが右フックをそれぞれの顔面にヒットさせる。終盤はヘリッグのパワフルな組みを前に、ウォーターソンが踏ん張る展開が続いた。
2R、最初の2分間は組みの攻防になり、仕掛けたヘリッグはやや疲労した様子。ウォーターソンは離れ際に右フック、さらに左ハイもクリーンヒットさせ、再びヘリッグが組みついてくると豪快に投げ飛ばす。ウォーターソンが上をキープしながらパンチとエルボー。
3R、ウォーターソンが組みついてテイクダウンを狙うが、ここはヘリッグが意地を見せて上を取る。しかし、ウォーターソンは下からエルボーを連打。ヘリッグはウォーターソンのオモプラッタにも捕まり依然劣勢が続く。スタンド戦に戻ってもウォーターソンがクリンチからヒザ蹴り連打を突き刺すなど戦況は変わらず。ウォーターソンの判定勝ちとなった。
▼フライ級 5分3R
○ジュシー・フォルミーガ(ブラジル/UFC世界フライ級5位)
判定3-0 ※30-26、29-28、29-28
●セルジオ・ペティス(アメリカ/UFC世界フライ級2位)
▼ウェルター級 5分3R
○ビセンテ・ルーケ(アメリカ)
KO 1R 3分52秒
●ジェイリン・ターナー(アメリカ)
▼女子バンタム級 5分3R
○アスペン・ラッド(アメリカ/UFC世界女子バンタム級9位)
TKO 1R 3分26秒
●トーニャ・エヴァンジャー(アメリカ/元Invicta FC世界バンタム級王者)
▼ライト級 5分3R
○スコット・ホルツマン(アメリカ)
KO 3R 3分42秒
●アラン・パトリック(ブラジル)
▼女子バンタム級 5分3R
○ヤナ・クニツカヤ(ロシア/元Invicta FC世界バンタム級王者)
判定3-0 ※三者とも30-27
●リナ・ランズバーグ(スウェーデン/UFC世界女子バンタム級12位)
▼ライト級 5分3R
○ニック・レンツ(アメリカ)
TKO 2R 1分19秒
●グレイ・メイナード(アメリカ)
▼ウェルター級 5分3R
○トニー・マーティン(アメリカ)
TKO 3R 1分00秒
●ライアン・ラフレア(アメリカ)
参照元 :
イーファイト
【UFC】「仲間を切るなら俺もクビにしろ」マクレガー倒したヌルマゴメドフ、怒りの声明
2018/10/14(日) 6:30配信
10月6日(現地時間)にラスベガスで開催された『UFC 229』で、元UFC同時二階級制覇王者コナー・マクレガー(30=アイルランド)に4R、チョークスリーパーで一本勝ちしてUFCライト級王座を防衛したハビブ・ヌルマゴメドフ(30=ロシア)は、試合直後にケージを飛び越え、試合中から彼に対して暴言を吐き続けていたとされるマクレガーのセコンドに殴りかかった。
これをきっかけに両陣営がオクタゴンになだれ込み、大乱闘となって逮捕者まで出た。まさにUFC史上初の大騒動である。
試合後の会見に出席したヌルマゴメドフは乱闘になったことを公式に謝罪したが、その後、乱闘でマクレガーを殴ったとされる彼のチームメートたちが処分を受けた。
その1人はズバイラ・ツフゴフ(UFCフェザー級で4勝1敗)。10月27日(同)に開催予定のUFCファイトナイトでアルテム・ロボフ(マクレガーのチームメートで石原夜叉坊を破った男)と対戦予定だったが、同大会のカードから外された。もう1人はイスラム・マハチェフ(UFCライト級で5勝1敗)で、2人ともUFCから永久に追放されるという。これに対して、ヌルマゴメドフは写真投稿サイト、インスタグラムで怒りの声明を発表した。
「UFCに対して言いたい。
なぜ彼らのチームがバスを襲撃し、数人にケガを負わせたときには、誰もクビにしなかったんだ? あの襲撃で死人が出たかもしれないのに。俺の故郷、宗教、祖国、家族に対する侮辱に対して、なぜ誰も何も言わないんだ?
両チームがケンカしたのに、なぜ俺のチームだけを罰するんだ? 俺がこれを巻き起こしたって言うが、違う。彼(マクレガー)が始めたことを俺が終わらせただけだ。
とにかくズバイラ・ツフゴフは関係ない。
俺が黙ってると思ったら大間違いだ。あなたたちはズバイラがコナーを殴ったと言って彼の試合をキャンセルし、クビにしようとしている。だが俺の仲間に先に手を出したのはコナーの方だということを忘れないでくれ。ビデオをチェックすればわかる。
彼をクビにするなら俺も辞める。ロシアでは仲間を決して見捨てないし、俺は仲間のためなら、どこまでも戦う。それでも彼をクビにするというなら俺の契約書も破棄して送り返してくれ。さもなきゃ、俺が自分で破棄する。
そしてもう1つ。あなたたちが差し押さえてる俺のファイトマネーは、取っておけばいいさ。あなたたちは、そのお金のことで超忙しいみたいだが、お金をのどに詰まらせないよう祈るよ。俺たちは名誉を守ったし、それが最も大切なことだ。俺たちは戦い抜く。#Brothers」
このインスタが投稿されてわずか1日で210万以上の「いいね!」が押された。
4月5日(現地時間)にマクレガーとチームメートら約20人はニューヨークで、『UFC 223』の記者会見に参加したヌルマゴメドフをはじめとする選手らが乗るバスを襲撃し、マクレガー本人が金属製の台車をバスの窓ガラスに叩きつけて割った。ガラスの破片でマイク・キエサは複数の切り傷を負い、レイ・ボーグは目にガラスの破片が入って、両名とも試合を欠場せざるを得なかった。
マクレガーらは現場から逃げ去り、その後NY市警に出頭して逮捕されたが、保釈金を払って保釈された。
UFCからは、マクレガーや襲撃に加わった選手たちにペナルティーは課されていない。
参照元 :
イーファイト